こんにちは。
大企業の特色として取り上げられるジョブローテーションについて、入社してから当事者となったため、新人なりの意見を書いてみたいと思います。
私の会社では、人事と上層部だけ乗り気なのでやることになっていますが新人が配属されている部署の人も受け入れている部署も反対しており、新人も嫌で辞めていくというような状況なので、かなり批判的な立場で書いています。
強制的にジョブローテーションをさせられている最中の、企業側の視点や後々の自分へのメリットが良く分かっていない新人が書いている記事であることはご了承ください。
書ける範囲で適度にぼかしながら頑張って書きます。
ジョブローテーションの背景

ジョブローテーションとは?
ジョブローテーションとは日本の大企業でよくある、従業員を異なる部署や職種に一定期間異動させる制度です。最初から期限付きで異動の命令が下り、その期間が過ぎると元の部署に戻ることが多いです。
金融や建設系を始めとして、新人が最初の数年間でジョブローテーションを行っているところは結構ある印象です。
メーカーの工場実習(特に自動車メーカーは有名ですよね)なんかも一種のジョブローテーションかと思います。
ジョブ・ローテーションとは企業において社員の能力開発を行うことを目的として、多くの業務を経験されるために一人の人間を定期的に異動させること。これを行うということで社員は様々な視点で仕事を行うことができるようになるとともに、社員個人の適正を見極めることができるようにもなるというメリットが存在する。
引用元:Wikipedia
私の会社のジョブローテーションの状況:新人がジョブローテーションする
私の会社は、新人がジョブローテーションを行います。
入社して研修が終わってから、開発寄りのマッチングを行って入社した人がゴリゴリの上流工程を行う部署に回されたり、営業をしたりします。その逆もあるっちゃあります。
筆者のプロフィール
- 大手のSIerのSE(ジョブローテーション中)
- 2019年に新卒で上記の会社に入社し、2年目に突入
ジョブローテーションのデメリット

デメリット①:希望した職種で入社した新人がいきなり飛ばされる
内定後~入社して数か月の期間で、「配属ガチャ(上司ガチャ、所属ガチャ)」が存在します。
私の会社は配属ガチャを行って所属を決めてから、ローテーションで期間を決めて他の部署に実習に行く形でした。
(配属ガチャについては下記の記事で詳しく書いています)

この結果どうなるかと言うと、「せっかく自分のやりたいことができる部署に入ることができたのにそれとは全く興味がない部署で仕事を始めることになり、モチベーションが下がる」
ということが起こります。
私は(技術がどう使われるのかを見ながらマネジメントも少しやって転職しようと思っていたので)、詳しくは伏せますが開発を行ってる技術部隊に行きたいと就活の面接時点から名言しており、競争率が高い配属ガチャを勝ち抜いて希望部署に配属され、超優秀な部長と優しい上司に恵まれました。
しかし、その後すぐにジョブローテーションが始まり、普段記事を書いているようなザ・SIerの手配師を行っています。

同じようにジョブローテーションをしている同期も全員自分の所属部署が恋しいといっているし、最初の数年、自分の希望した職種で仕事をやらせてあげることはできないのか…と思います。
デメリット②:新人に重要な仕事を振れないので何のスキルも身に付かない
このジョブローテーションを受け入れている部署も中々可哀想で、「社会人としての基礎も何もわかっていない新人が来たものの、期間限定で帰っていくため(部署として)教育の費用対効果は著しく低い」という状況になります。
じゃあ受け入れを断ってくれと言う話なのですが、その部署も他のところにジョブローテーションとして新人を差し出しているので、お互い様ということで渋々受け入れるようです。
(私を受け入れる前、部署の中で誰が私の面倒見るかで散々揉めて超たらい回しにされていたらしいです。当然ですね。)
教育しても自分の部署で長く活躍してくれるわけではないですから、先に繋がるような意味のある仕事(例えばシステムの機能を学ぶために細かいところを作ってみる等)を与えるメリットは薄いです。即戦力になれるわけでもないので、結果、与えられるのは大体単純作業です。
一番多いのはテストマンで、延々とテストをやり続けてエクセルにその結果をまとめたりします。私の会社はここまで過酷な環境ではないですがこれは良い例です。
テストは丸投げの開発に比べて人員を割く必要があり、作業にはコーディング力等のスキルは不要なので、教育するメリットが薄い他部署に帰る新人にやらせるにはぴったりの仕事です。
結果的に何のスキルも身に付かず、このジョブローテーションの期間分、成長が止まるだけなのでは…?というのが最近の私の危惧しているところです。配属された部署に帰って何もできず、新入社員向けのものと同じような教育をされるのは避けたいです。
デメリット③:社内事情に詳しくなるだけで市場価値が生まれない
ジョブローテーションを行う目的は以下のようなものがあると思います。(企業側の視点)
- 部長以上くらいに出世させる時に、ずっと同じ部署にしかいない人だと困る
(人脈がなく他と連携しにくかったり、事情が分からなくて円滑に仕事が出来ない等) - 部署に新しい文化を取り入れたい
- 違う部門の事情を理解できる人を部署に配置しておくことで、連携しやすくしたい
見ていただければ分かると思いますが、これは完全に会社の都合であり、一社の色々な部門を理解している人より、きちんと専門性を身に付けられている人の方が当然市場価値は高いです。
例えば20代で転職したいとなったら、2年間ジョブローテーションでテストをやり続けて、その後2年間企画をやった人と、4年間企画に携わった人なら、後者の方が専門性が身に付いて市場価値が生まれるのではないかと思います。
今の時代は終身雇用が崩れてきて日本を代表する企業でもリストラが当たり前になり、「ジョブ型雇用」に移り変わろうとしている時代です。常に市場価値を意識しながら仕事をする必要がありますし、ジョブ型に移り変わるのであれば、ずっと同じ会社で勤め上げる場合でも自分に専門性が必要です。
ジョブローテーションは終身雇用前提の制度で時代に見合ったものではないのでは…と感じています。(みんなずっと同じ部署にいたら困るという事情も分かりますし、難しいところではありますが。)
ジョブローテーションの市場価値が生まれない実例はこちらの記事に詳しくかかれていました。よろしければご覧ください。
デメリット④:結果、企業が求めるような「IT人材」がどんどん辞めていく
上記のようなことが起こり、結果的にどうなっていくかというと、ずっと単純作業をやらされてジョブローテーションの期間中に学びがないことに気が付いた新人は、優秀な人から辞めていきます。
私と同じ部署に配属された同期達は、1年経った今1/3辞めました。(母数は伏せますが3ではないことだけ申し上げておきます。3人中1人で33%辞めたって言うのはなんか盛ってる気がするので)
私と同じように、開発をやりたいことを明言してそれで合意を取って内定をもらったので入社した人たちで、技術的な知識があり頭の回転が速く、学ぶスピードも速くてコミュニケーションも取れる、といった優秀な同期から辞めていきました。
彼らが会社にミスマッチだったというのはもちろんあると思いますが、配属された部署に不満はなかったようですし、ジョブローテーション制度によって、帰ってきたら彼らが働く予定だった部署も同期たちも会社も損失を被っている気がするので勿体ないなと思いました。
彼らこそが企業が求めている「IT人材」なのではないかと思いますし(※)、欲しいというようなポーズを取っておきながら技術に関する専門性がある新人を全く関係ない部署に回して辞めさせるのは全く矛盾しているなと感じます。
(※あれはポーズだと思っています。最近のよくある大手企業の「AI人材」が欲しいというのは、他社がやってるしそこに集まってしまったら後々困りそうだから追従しておくか、子会社に年収が高い専門ポストを作ってみるけど、来なくてもやれるだけのことはやったし…みたいなスタンスなのかなと思っています。仮説ですが。)
ちなみに毎年一定数新人が辞めているため、開発寄り・技術支援部隊の部署はかなり反対していて何回も止めるよう交渉を行っているようなのですが、上の命令でどうにもならないようです。
まとめ:ジョブローテーションは就活時によく考えて入社しよう
思ったことを書いているだけなので特に結論はないのですが、強いて言うならばやりたいことが決まっているならば就活時にはジョブローテーションがないか気を付けて会社を選びましょう。ということでしょうか。
ジョブローテーションをやってみて得られたことももちろんありますが、ある場合とない場合を比べてみた場合に自分のキャリアをリスクに晒している自覚があります。ジョブローテーションを行う会社に就職した場合は、専門性が身に付かず転職がしにくくなるかもしれないリスクを加味して会社を選びましょう。
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