【就活生は注意】「システムエンジニア」の種類が幅広すぎる話

SEについて

こんにちは。

就活をしている知人から
「貴社のSEに受かったんだけどどう思う?要件定義から開発までのどのフェーズが多いとかある~?」
と聞かれてよくよく事情を聞いてみたら、
「いやいや、その選考ルートのSEって技術営業のことだよ、プログラミングどころか設計すらしないしただサービスを導入するときに交渉しに行くだけだよ…」
という事態に陥ってかなり怖いなと思ったので、

  • 大手SIerで募集している「システムエンジニア」にどのような種類があるのか
  • 新卒の選考ルートでそれらを見分け、希望通りの職に就く方法

について解説していきたいと思います。

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前提:新卒の一括採用を行っている大手SIerの話です

この話は所謂大手SIerと呼ばれるところに入っている私の会社の話です。
「一次請け」「プライムベンダー」という立場で仕事をしており、またの名を「手配師」と呼ばれているところですね。

開発のプログラミングは二次請けに丸投げですし、技術の動向についても(顧客が超詳しい場合以外は)詳しくキャッチアップしている人は少ない状態です。

つまり、私の会社ではそもそも開発のプログラミングをやっている人は少なく、細かい技術に特化したエンジニアやそのようなキャリアパスは少ないですし、「世の中のシステムエンジニアの種類の話ではなく、一括採用される大手SIerのシステムエンジニアの中にどのような職種があるかを書いている」という前提で読んでください。

SIのプロジェクト案件で私の会社(=プライムベンダー)がやっている仕事内容は以下の記事で解説していますので、こちらをご覧ください。

SIerの技術力について【技術力と年収は無関係】
よく「SIerは技術力がない」という言葉を耳にします。プライムベンダーとして仕事をしている現役SEが、今行っている仕事内容やSIerの多重下請け構造から、問題点を詳しく解説します。SIerの実態を知った上で就職・転職を行いましょう。
SIerに向いている人と向いていない人【仕事内容は交渉と手配】
SIerの現役SEが、SIerでのプロジェクトの進め方や仕事内容、向いている人と向いていない人を現場目線で解説します。自分がSIerで働くのに向いているかどうかを考えてみてください。
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システムエンジニアにはどのような種類があるのか

大手SIerの「システムエンジニア」として採用された後の業務ですが、私の会社は以下に大別されるかと思います。

マネジメント側に回ることが多いため、「何屋さんになりたいの?」みたいな技術的な話(技術の中でインフラを極めたいのかアプリケーションに特化したいのかといったキャリアパスの話)はあまり出てこないです。

①SI案件のマネジメント業務(PM)

出典:Think IT

SIerと言えばこれをイメージする人が多いのではないかと思います。
実際、ほとんどの人がここに配属されます。
見積もりを誤ったり作りが悪かったりして炎上したり大赤字になることもちょいちょいありますが、それでもSI事業は単価が高く、儲かるのです。

未だにゴリゴリのウォーターフォール開発が多いのが現状で、要件定義~設計においては社内調整・顧客調整を行って仕様を決め、開発については進捗管理等を行います。
テストは少し頑張ってバグ件数を見たり自分たちでテストを行ったりし、本番稼働後に障害が起こると大惨事になる、というお仕事です。

上にもリンクを貼りましたが、もう少し詳しくは以下に解説しています。

SIerに向いている人と向いていない人【仕事内容は交渉と手配】
SIerの現役SEが、SIerでのプロジェクトの進め方や仕事内容、向いている人と向いていない人を現場目線で解説します。自分がSIerで働くのに向いているかどうかを考えてみてください。

システムの中でどのレイヤー(インフラ系、アプリケーション系など)のとりまとめを行うのかは完全に運で、(実際にプログラミングを行う方たちに比べたら)流動的という印象が強いです。ずっとインフラをやってきたからインフラのスペシャリスト、というわけではなく、あくまで取りまとめに過ぎません。

役職が上がってくるとより広い部分のマネジメントを行うようになります。
インフラ系やアプリ系のマネジメントをやっていたのが、プロジェクト全体のマネジメントをやるようになります。例えば、全体の予算管理や顧客とのスケジュール調整を行うようになり、責任重大です。

②アプリケーションやソフトウェア、インフラの専門技術部隊

会社がどのくらいの規模かによりますが、一定以上の規模の会社であれば、横串で技術的な支援を行う部隊がいる場合があります。

どのような支援を行っているのかは会社によって様々ですが、例えば

  • オンプレの構築
  • 技術力が足りなそうで炎上しかかっているアプリケーション開発
  • 新技術(クラウドやOSS)の導入

などについて技術的なことを中心に支援を行ったりします。

彼らは上記で書いたウォーターフォールの上流から下流まで関わることはあまりなく、顧客の分野(インダストリー)などをまたぎ、色々なプロジェクトにスポット的に支援を行います。

③自社/他社パッケージの導入サポートを行うSE

自社でパッケージ(=色々なユーザーに対して提供できるソフトウェア)を開発している会社や、他社のパッケージ(ERP)の導入支援をしている会社も多くあります(参考:富士通)。

この場合、提案や要件定義、顧客の業務に合わせたカスタマイズを行うSEが存在します。場合によりますが、パッケージを使う場合は、そうではない1から全て自分たちで作る場合に比べ上流工程の比率が大幅に高まります。より一層コミュニケーション能力や提案力が重要になり、パッケージのカスタマイズが少ない場合は技術営業チックになったりします。

なお、パッケージ中身の開発(特定ユーザーへ提供するためのカスタマイズではなく、多数のユーザーが使うソフトウェアの大元の開発)は、システムエンジニアではなく開発職が別に職種として存在する会社が多い気がします。

※「パッケージ開発」と「フルスクラッチ開発」の2種類がある

この「自社(もしくは他社)パッケージを使うか否か」というところでそれぞれ名前があります。
(最近はあまり使われていない気もしますし、現場でもそこまで意識的に区別しているわけではないですが…)

所謂「SI案件」で思い浮かべるような、既存のものを使用せずに一から全てオーダーメイドでシステムを作り上げることを「フルスクラッチ開発」と呼びます。

一方で、パッケージを用いてカスタマイズを行うことで顧客のニーズに合うソリューションを提供することを目指す手法を「パッケージ開発」と呼んだりします。

フルスクラッチ開発は上で述べたようなウォーターフォール開発のような上流工程(要件定義、基本設計、詳細設計)と下流工程(開発、単体テスト、結合テスト、リリース)が存在し、一から作り上げる分顧客の業務に合ったシステムを作り上げることが可能です。
一方で、費用が高くなり時間がかかるのがデメリットです。

パッケージを用いる場合も上流工程は同様に行いますが、フルスクラッチ開発の場合に比べ、細かい技術的な話は少なく、パッケージの仕様の話が多くなります。下流工程はパッケージがすでに土台として存在し、カスタマイズを行うだけなのでフルスクラッチ開発に比べて工数が減ります。

開発の工数が減ることによって、費用や納入までの時間が減ることがメリットです。ただし、パッケージが本当に業務の流れに合っているのかの検証は慎重に行う必要があります

④プリセールス、拡販を行うSE、ブリッジSE

営業と上記①のSIerのマネジメントとの間くらいの立ち位置で、案件を受注するまでの提案活動を中心に行い、受注した後は①で書いたようなPMに受け渡すプリセールスSEという人もいたりします。
システム構築のフェーズに入ってこない超上流工程を行っています。

他にも、作ったサービスのPoCを行うために提案活動(拡販)をしているSEや、オフショア開発や保守を行うことができる海外の会社を探し、契約締結までの調整を行うブリッジSEという人がいたりします。

①で述べたマネジメント業務よりも、さらに調整や手配に特化した人たちです。

➄社内SE(情報システム部門)

所謂「情シス」と呼ばれている方たちで、我々が仕事をする上での環境を支えてもらっています。

仕事内容はハードウェアを手配したり、社内ネットワークや勤怠システムの構築や管理を行ったり、みんなが開発に使っているソフトウェアのセキュリティをチェックしたり、社員からの問い合わせに対応したり等でしょうか。

今はコロナの影響で強制テレワークになった結果、ネットワークのリソース不足やPC不足がとんでもないことになっているところは多いでしょう。めちゃめちゃ大変そうです。

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就活時に希望の種類のSEになるにはどうすればいいか

ということで一口に「システムエンジニア」といっても色々なことをしている人がいるわけなのですが、ではどうすれば希望の業務を行うことができるのでしょうか。

残念ながらSI企業は新卒採用の最初の入口は区別をせず、SEの一括採用を行っているところが多いというのが実情のようですが、それでも考えうる方法をまとめました。

①希望するSEの種類や部署と面接ができる会社に就職する

一部の企業では、技術寄り/営業寄り(フロントSE)という区分で最初に選考ルートが分かれたり、理系の推薦枠であれば希望の部署を指定して面談ができる制度があるようですね。

入って新卒ガチャに外れて「こんなはずじゃなかった…希望通りの部署に行けると思ったんだけどな…」となっても遅いため、このような選考フローを取っている会社を探して受けてみるのも良いのではないかと思います。

②取り扱っている分野を見てどの種類のSEかを見分ける

一番最初の入口の選考ルートで分野(インダストリー)を分けて採用している企業はそこまでないかと思いますが、たまに一部分野だけ分かれて採用になってるところもあったりします。

全ての案件がそうというわけではないですし、会社によっても大きく異なりますが、医療系や工場向けのソリューションはパッケージ導入が多いです。

一方で金融や公共分野などは業務が各組織によって変わることや大規模案件となることから、オーダーメイドのフルスクラッチ開発が多いです。

医療向けソリューションとかプラント工場向けのエンジニアはたまに選考を分けているところを見つけるため、これを参考にして人事に確認してみるのが良いと思います。

③一括採用しているSI企業は多いので、就活時から希望をアピール

たとえ選考フローが分かれていなくても、就活の時から自分は上記のエンジニアの中からどれをやりたいか、どの分野に関わりたいかはできるだけ具体的にESに書き、面接でアピールすることが大切です。

新卒ガチャで人気の部署に行けるかどうかは、熱意があるかどうかで判断されるところが大きいです。
この熱意をアピールする手段として、具体的なことを言って調べていることを示すことと、就活の段階から一貫した希望をもって入社したことを証拠として残すということが極めて重要となります。

就活ガチャについては下記の記事で詳しく書きました。
私も比較的希望の部署に配属されたのでやってよかったと思うことや、周りを見ていて希望通りの配属となっている同期の共通点などを解説しています(答えはほぼ全部上記に書いてしまいましたが…)。

大企業の新卒ガチャ対策の3つの方法と、外れた場合の対処
大手のIT企業に入社して新卒ガチャを乗り越えた経験から、自分や周りの状況を分析し、希望通りの部署に配属されやすくなる方法を解説しました。また、もしも希望通りに配属されなかった場合に転職すべきか否かという疑問にもお答えします。
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まとめ:SIの衰退とDXにより未来はどうなるか分からない

これはあくまで今の話で、今はDXなんてものが流行っていたり、数十年先にSIerが生き残っているかと言われれば分からなかったりで、仕事の在り方はこの先急激なスピードで変わっていくと思います。

DXについてもいつか記事を書きたいのですが、いまだに何だか良く分かっていないのでもう少し調べたら書こうと思います。(DXは激アツワード(2020年現在)なので、就活生の皆様は調べてみたらいいかもしれませんね。)

SI案件内で保守やってる→アプリケーションやりたいみたいな仕事内容の変更はプロジェクトの状態によって流動的に発生しますが、パッケージの導入の技術営業からSI案件のPMやりたい!みたいな異動はそれと比べてかなり難しいです。

就活生の皆さんが少しでも有効な手立てを打つことで、希望の部署に行ける可能性が広がることを祈ってやみません。

↓新卒ガチャのガチャ内容などについてはこちらの記事をご覧ください。

【闇の実態】大企業やSIerの新卒ガチャについて思うこと
大手のIT企業に入社して新卒ガチャを乗り越えたので、自分の周りで起こったことやガチャの種類・理不尽だと思ったことなどの実態を赤裸々に語ります。大手企業やSIerの新卒ガチャの実態を知りたい方は、是非ご覧ください。

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